漆喰は、古くから日本の建物をはじめ、世界のあらゆる地域で使われてきました。一時は新しい建材により衰退したものの、現在ではその魅力が再認識され、様々な場面で目にする機会も増えてきています。そこで今回は、漆喰のメリット・デメリットについてまとめて紹介していきたいと思います。そのおしゃれで健康的な素材を、あなたの住まいにも是非取り入れてみて下さい!
漆喰を取り入れようと考えている方の多くは、室内空気をきれいに保ってくれる働きに期待しているのではないでしょうか。漆喰の良さが再認識され、再びその利用が増えてきている理由の1つとしても、かつて大きな社会問題ともなったシックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドを漆喰が分解してくれるということが挙げられます。また、その他にも脱臭効果も期待できるので、ペットを飼っている方にもおすすめの素材です。
写真:吉田祥平
燃えない素材からなる漆喰は、優れた防火材でもあります。また、防火に優れた化学建材でも熱せられるとダイオキシンなどの有害なガスが発生するものもありますが、そうした事も起こらない安全な素材であります。大火事に悩まされていた昔の時代には、漆喰の火に強い特長を利用して、城を中心に防火対策として壁などに塗られていました。
漆喰が持つ特有の質感に魅せられる方も多いはずです。職人の手によって、一塗り一塗り丁寧に塗られていくため、壁紙などでは表現することができない独特の表情をインテリアに取り入れることができます。こちらの総合建築植田が手掛けた住まいでは、天井の仕上げとして砂漆喰スタッコ調が取り入られ、素材の柔らかなやさしい質感が感じられるインテリアとなっています。
写真:K.sugino
漆喰の基本の色は白ですが、配合する原料によって色も異なりますし、先程のように、質感や表情も色々なパターンのものが楽しめます。地域によっては、その土地特有の漆喰もあるので、是非チェックしてみて下さい。地域の素材の利用については、「地元の自然素材をたくさん使ったエコで心地いい家族の家」も参考にしてみて下さい。
ビニルクロスであれば、すでに仕上がっている素材を現場で張って終わりですが、漆喰は、現場に原料を持っていき、そこで配合し、塗っていくことになります。さらに、1回ではなく、何回も重ねて塗っていきます。その間にも、乾くまで時間をおく必要があり、どうしても工期が長くなり、その分人件費などによるコストがどうしてもかかってきてしまいます。また、職人によって手作業で進められていくため、職人の経験や技術の違いにより、仕上がりの質が変わってくることもデメリットとして挙げられます。
漆喰には高い調湿機能があると期待している方もいるのではないでしょうか。しかし、実際にはJIS規格を満たす調湿性能を持っておらず、漆喰は調湿建材として認められていません。以前は、土壁の上に塗られていたため、壁全体で調湿を行うことができましたが、現在では、ほとんどが石膏ボードなどの上に塗られるため、漆喰の数ミリの厚さでしか調湿を行うことができないことになります。しかし、最近では、原料は異なるものの、調湿性能の高い漆喰調の素材も出てきているので、漆喰の素材感と調湿機能を期待する方は、是非チェックしてみて下さい。