住宅のロケーションを建物の密集した都市とすると、地域に映えるような自由なデザインを愉しむよりも、まずはプライバシーや快適な住空間を確保することが最優先になってしまいますよね。外観や外形には発揮できなくとも、住空間を存分に愉しむことは出来そうです。今回ご紹介するのは南北に長い敷地に建つ都市型の多世帯住宅です。有限会社角倉剛建築設計事務所が手がけるこちらの「うなぎの寝床の多世帯住宅」は親世帯と子世帯の距離感をメインにプランされ、程よく繋がる空間が特徴的です。都市型の住宅には欠かせないプライバシーやセキュリティ面にも充実した住み心地のいい住まいです。
敷地があるのは東京都台東区、背のあるマンションや商ビルの立ち並ぶ都心らしいロケーションです。接道から見る外観はウナギの寝床のようにほっそりとしたコンパクトなフォルムに。両隣の敷地は現在空地となっていますが、いずれ建つであろう建物を想定し、プライバシー性、セキュリティ性にも考慮されています。正面に見るファサードはグレーとホワイトカラーでまとめられた一見は簡素にも見えるデザイン。夕景にはそのシンプルでさっぱりとしたファサードに室内の温かな光がちょっぴり柔らかな表情を見せています。
玄関エントランスへと踏み込むと、ホワイトカラーをベースに、木素材のナチュラル感でまとめられたシンプルなインテリアが広がっています。玄関土間とフロアの境に設けられた間接照明は、シンプルな空間を柔らかく温かな空間へと演出しているようです。天井から灯す明るい空間というよりも足元から灯す温かみのある柔らかな光が、来客や帰宅する家族にちょっぴり特別な安心感を感じることが出来そうです。
都市型の住宅で最も大切なことの一つに住空間に自然を取り込むことがあげられるかもしれません。大きな開口を設けたくとも、近距離に迫る近隣住宅は当たり前です。そんな時もっとも効果的なのは、トップライトでダイレクトな太陽の光や爽快な空の風景を切り取ると劇的に空間の印象が変わります。本住宅にも設けられたトップライトは見上げると流れる雲を愉しむことが出来ます。インナーブリッジのある吹き抜けは抜群の開放感も感じることが出来ますよね。
吹き抜けのある室内は明るいトーンの木フロアが明るく気持ちのいいモダンな空間。どこかのギャラリーを思わせるようなシンプルなインテリアはまっさらなスケッチノートのような空間かもしれません。多世帯の住む住空間、それぞれの世帯の好みによって柔軟に雰囲気を変えることが出来そうですよね。
夕景に見る室内は、通路を介さず階段で各スペースをダイレクトに繋いでいるため、各階の光が届く柔らかな光に包まれています。自分が今いる階の灯りをともさなくともどこかゆったりと拡散してくる光の明るさがちょっぴり心地よさを感じられそうです。家族の気配を感じることのできる住空間は、多世帯で住まいながらも程よい距離感を感じることが出来ます。
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