歴史と願いが詰まったリノベーション

Nami Sasaki Nami Sasaki
House in Yoro, AIRHOUSE DESIGN OFFICE AIRHOUSE DESIGN OFFICE Salones minimalistas
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リノベーション。一昔前まで新築が当たり前だった日本の住宅事情も、近頃変化を見せています。よりよい立地条件で、さらにお財布にも優しく、理想の家を実現できるなんて、願ったり叶ったりですよね。また、既存の建物がある分、この柱を取っ払って、キッチンをこっちに移動して… とイメージが湧きやすく、建築家と一緒に主体的に家づくりに関われるという楽しみもあります。そんなクライアントの願いが詰まったリノベーション住宅。生まれ変わった新しい姿とともに、その建物が歩んできた歴史も感じてみましょう。

色で、形で、遊ぶ。

「凹凸の集い」というコンセプトで改修されたこちらのマンション。手がけたのは、改修事業を多く手がけるNUリノベーション。その名の通り、視線が交差するようキッチンの床を一段下げたり、寝室の仕切によって生じたスペースにベンチを設置して図書スペースを設けたり、キッチンカウンターに思い出の品を飾れるマガジンラックを取り付けたりと、「凸凹」がたくさん詰まった設計が行われました。カラフルな柄の入ったキッチンタイルや、ポップな椅子、あえて一本だけネイビーに塗られた柱等、色でも形でも遊んだ、楽しさいっぱいのデザインです。

大空間をそのままに

大空間が気持ちの良いこちらの住宅。元々は倉庫として使われていた物件が、AIRHOUSE DESIGN OFFICEによって「家族の気配が感じられる」家へと変貌を遂げました。倉庫という特性を活かして、空間が仕切られることなく、ボックスをひとつ入れることで、ベッドルームやお風呂場等のプライバシーは確保。ワンルーム住宅に起こりがちな断熱問題は、100mmの厚さのウレタン素材を壁や床、天井に入れ込むことで、余分な熱伝導を最小限に抑えました。前の姿をとどめつつも、暮らしやすさも考慮して設計されたリノベーション案です。

ゆるやかに隠す

こちらは築25年のマンションのリノベーション。最小限の断熱材を残して、可能な限りコンクリートの躯体を表へ出すデザインとなりました。こちらの部屋でなんと言っても特徴的なのが空間の仕切り方。リビングルームと寝室の目隠しには、ナラの古材で作られたすのこのように視線の抜ける板を使用し、窓際の部屋との間には天幕状の布をパーテーション代わりに。もとのマンションの姿からは想像もできない、お洒落なカフェのような空間が出来上がりました。

歴史を受け継ぐ

こちらは、松井建築研究所が手がけた築80年の民家再生。肌触りの良い無垢材がふんだんに使われ、扉や柱等随所に見られる丸みのあるデザインが、空間をよりあたたかなものにしています。また、この住宅で特筆すべきは、大谷石を使用した土間と蒔ストーブでしょう。どちらかというと古典的な要素にもかかわらず、新しいデザインに見事に溶け込んでいます。現代風にアレンジしながらも、80年続いた歴史の重みを受け継ぐことのできる仕上がりになりました。

しずく型暖炉

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大きな開口から差し込む光が気持ちの良い、イギリスのこちらの住宅。リビングにある折りたたみ式のガラス戸を開け放てば、緑の芝生が美しいお庭と一体になり、開放感は増すばかり。そしてこのリビングで、一番のアクセントになっているのが、この流線型の暖炉。まるで天井から流れ落ちたしずくのように、宙に浮いているのが印象的ですね。モダンで、お洒落な、海外のセンスで行われたリノベーション例です。

屋根裏もデザインする

ドイツの会社SCHULZ.ROOMSが手がけたこちらの住宅。梁を避けて設置された天窓によって、もとは屋根裏部屋だとは信じられないほど、明るい空間が広がります。バスルームにあたるこちらの空間は、中央に設けられた洗面台がシンボリックな存在に。ハイツクルパーと呼ばれるお湯の通る暖房器具もメタリックに仕上げ、デザインの一部になっています。暖炉やソファまで完備の、こんなに居心地の良いバスルームがあれば、毎日のお風呂が楽しくなりますね。

床で仕切る

こちらのマンションは、ご主人のコレクションである家具をリビングに年代別にディスプレイしたいという希望でリノベーションが始まりましたが、スペースの問題からやむなく断念。代替案として、床の張り方を変えることで空間に変化をもたせるという、目から鱗のアイディアが出されました。ダイニングスペースは市松張り、キッズスペースはヘリンボーン、そしてキッチンとリビングダイニングを仕切る廊下の部分は真っすぐなフローリング張り。空間を細かく仕切ることに成功しました。どんな物件でも使える、覚えておきたいテクニックですね。

素材の味を楽しむ

こちらはゆくい堂株式会社がリノベーションを手がけたマンションの一室です。マンションとしては異例の約165㎡という広さを大胆に使って、のびのびとした設計がなされました。床に使用した無垢のオーク材が、味のある雰囲気作りに一役買っています。ダイニングは、隣接する中庭と一体化することも可能。キッチンとの仕切も視線の抜ける素材を選択することで、空間をより広く見せることに成功しました。玄関付近には壁に煉瓦を使ってアーチ状の出入り口を設けるなど、型にとらわれない自由な発想で、素材の味を活かした大人の空間を演出しました。

全て集める

東京を中心に数多くのリノベーションを手がける建築家、吉田裕一氏によって、ビルの一室が住居へと変貌を遂げました。5~10年後に転売または賃貸したいというクライアントの「生活するために必要な最低限の機能を確保しつつ、外部側になんでもできる場所をできるだけ大きく取りたい」という希望のもと、一風変わったプランが提案されました。それは、部屋の中央に生活動線を集約するというもの。キッチン、ベッドルーム、お風呂場を囲むように、回遊型のフリースペースが取られ、来客時には引き戸で目隠しすることも可能。普通の住居としても、オフィスとしても、自由な使い方ができるようになっています。

マイナス転じてプラスになる

こちらも先ほど紹介した吉田裕一氏が手がけた、マンションの一室のリノベーション。この物件の問題点は、部屋のど真ん中にどうしても撤去できないパイプスペースがあったことでした。普通なら、邪魔なものを隠そう隠そうとデザインするところを、あえて逆の発想で、パイプスペースを中心に、キッチン、ダイニング、リビング、和室と、4つの機能をひとつの空間に配置。さらに目立つようにマリンブルーでアイコン化を図りました。この柔軟な発想によって、マイナスはプラスへ大きく好転。パイプスペースが目隠しとなり、ワンルームであるのに、常にどこかが見切れる状態に。視線によって全く別の表情を見せるため、飽きのこない空間作りに成功しました。

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