天井材について、こだわったことはあるでしょうか。壁や床材については色や素材感など、かなりの方がそれぞれの希望やこだわりを持っていると思いますが、天井の素材についてはほとんどの方があまり気にしないのではないでしょうか。壁や床に比べると手で触れることが滅多にありませんし、常に視線の離れたところに見えるので、色を気にすることはあっても素材の種類まで考えることは少ないと思います。しかし、素材によってもインテリアの印象がかなり変わることもあるので、今回は天井材の種類とその選び方について紹介していきたいと思います。
天井材としての木材には、無垢材や化粧合板、木目をプリントしたものなど様々な種類があります。天井に木材を用いることで、一気に室内の木の温かみや風合いが増します。こちらのアトリエきらら一級建築士事務所が手掛けた住宅では、壁には漆喰が使われ、床と天井には無垢材が用いられています。周囲を竹林や梅林などに囲まれた自然豊かな土地に建つ住まいとして、家の中での日常でも自然木の趣や香りを楽しめるデザインとなっています。
壁の仕上げ材として最も用いられる素材の1つであるクロスですが、石膏ボードを下地にして壁と同様に用いられます。安価でデザインの種類が豊富ながら、しかも掃除などのメンテナンスも楽だという特徴がありますが、音が反響しやすいという反面も持っています。その点では、ロックウールの高い吸音性が有利となります。
左官仕上げや塗装など、材料が乾燥するまでに時間や手間がかかりコストがかかってしまうイメージを持たれている湿式工法ですが、天井の仕上げとしては、他の素材では不可能な継ぎ目のないきれいな天井面をつくり出すことができます。また、天井の形状を問わず、曲面の天井でも仕上げることが可能ですし、その素材感は独特なおしゃれさをインテリアにもたらしてくれます。こちらの総合建築植田が手掛けた住宅では、天井を砂漆喰スタッコ調できれいに継ぎ目なく仕上げて、表面にさらに細かな陰影をつけてその素材感を増しています。
写真:K.sugino
天井材を張ることが当たり前のように思う方もいらっしゃるかもしれませんが、当然張らないという選択肢もあります。特に、鉄筋コンクリート造マンションのリノベーションの場合、梁が大きいと天井を張った時にかなり圧迫感を感じてしまいます。こちらのこよりが手掛けたリノベーションのように、天井の仕上げを取り払って全体的な天井高を上げることで、とても広々とした開放的な室内となります。
写真:吉田祥平
通常、上の階の床と下の階の天井の間には隙間があり、そこに水や電気などの管を通して天井や室内をきれいに見せます。しかし、こちらの原 空間工作所が手掛けた住宅では、白いH鋼の上に床と天井を兼ねたALC板を配置して、天井材をさらに張る必要のない合理的な空間構成としています。通常の天井部分がないことから高い天井の室内で広々としていることはもちろん、それに加えて建築家の工夫により天井を張らなくてもきれいに見えるように上手くプランニングされています。
写真:加藤嘉六
天井材の素材を場所によって使い分けることはもちろんですが、平天井と勾配天井を組み合わせてみるのもいいかもしれません。一戸建て住宅の場合それは当然可能ですが、マンションの一室でもそれは可能です。こちらの住まいでは、窓に沿って長い勾配天井がずっと奥まで張られています。それにより、マンションにも関わらず戸建ての住まいのような雰囲気を室内に醸し出しています。
【天井については、こちらの記事でも紹介しています】
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